神社の杜(もり)とつながる命
ムクノキ | タブノキ | スダジイ | ヒノキ |
クスノキ | サクラ | エノキ | ケヤキ |
イチョウ | ボダイジュ | ナギ |
神社に見られる大きな木たち。私たちの神社の境内には、多彩な樹木が生い茂っています。
こうした高木は、里山の景色が残る相和地区を除くと、大井町でもあまり見られなくなりました。
『このような大きい木の役割って何だろう?』

夏の暑い日に神社に行くと、すっと風が通り、涼しい空気が身体を通り抜けていく。
そんな経験をしたことはありませんか。
大きい木はその大きく広がった根から土中に蓄えられた水を吸い上げ、水を気化して葉から放出し、気化熱で涼しい空気を作り出します。
また台風など強い風が吹いた時、健康な高木はゆるやかに風を受け止め、流し、周りの建物を守ります。
人にとって快適な環境を作り出してくれているのです。

しかし、大切なのは木が健康であること。
土の中の環境が整い、その根を元気に張り巡らせることができているかどうかです。
付近の安易な開発や木を痛めつける行為(乱暴な剪定(せんてい)など)は、木を弱らせ、倒木などの危険が生まれます。
私たちは今ある杜(もり)の大切さを忘れず、木々を守り育ててくれたご先祖様の思いを大切にしながら
次の世代に繋げていきたいと考えています。

神社の杜(もり)につながる先に、代々宮司が守ってきた果樹園があります。
現在も様々な果物を、無肥料無農薬で育てています。
落ち葉を運んだり、剪定した枝をチップにしたり。
敷地内にある竹を炭にして撒いたり、緑肥と呼ばれる植物たちに助けてもらいながら、果物や野菜の恵みを頂いています。
果物たちが美味しく育つのも、土の中の空気と水の循環を正常に保ってくれる神社の杜(もり)のおかげです。
そして、なぜ私たちに神社をお守りするだけでなく、農業という仕事が与えられたのか。
そのことについて、深く考えさせられることがあります。
神社で最も大切なお祭りは、二月の祈年祭と十一月の新嘗祭。
つまり私たちの命の糧となる食べ物の豊穣を祈り、感謝するお祭りです。
食べ物を育てるには、太陽や土やこの世界にある自然すべての力を借りなければうまくいきません。
その全てに感謝する気持ちを忘れないために、土に触れる機会を失ってはいけないのでしょう。
土と共に生活することを、今後も大切にしていきたいと思います。
